SaaSマーケティングとは?主な手法と重要指標をわかりやすく解説
SaaSマーケティングとは何か、通常のマーケティングと何が違うのか分からず悩んでいないでしょうか。
手法を誤ると、契約は取れても解約が続き、思うように売上が積み上がりません。
この記事では、SaaSマーケティングの意味や重要指標、代表的な手法から戦略の立て方までを解説します。
マーケティングとセールス・カスタマーサクセスの連携方法や、組織立ち上げ時のポイントもあわせて紹介する内容です。
BtoB企業のSEO対策にも直結するテーマであり、集客から契約後の定着までを見据えた設計のヒントになります。
SaaSマーケティングとは
SaaSマーケティングとは、SaaS(Software as a Service)型のサービスを対象に行うマーケティング活動のことです。
- SaaSの意味を前提として押さえる
- 一般的なマーケティングとの違いを理解する
前提を誤解したまま施策を進めると、成果が出るまでに遠回りをしてしまいます。
SaaSの意味
SaaSとは、インターネット経由でソフトウェアを利用できるサービス形態のことです。
買い切り型のソフトとは異なり、月額や年額の利用料を支払い続けることで機能を使い続ける仕組みです。
たとえば会計ソフトや顧客管理システム、チャットツールなど、業務で日常的に使われるサービスの多くがSaaS型に該当します。
契約後も継続して使ってもらうことが前提のビジネスモデルである点が、SaaSマーケティングを考えるうえでの出発点になります。
一般的なマーケティングとの違い
一般的な商品のマーケティングは、購入してもらう瞬間がゴールになりやすい傾向があります。
一方でSaaSマーケティングは、契約後も使い続けてもらうことまでを視野に入れる必要があるでしょう。
たとえば一度購入すれば完結する買い切り商品と異なり、SaaSは解約されればその時点で収益が止まってしまいます。
集客・契約・定着・解約防止までを一連の流れとして設計する視点が欠かせません。
SaaSマーケティングが重要な理由
SaaSマーケティングを軽視できないのは、事業の収益構造そのものに関わっているためです。
- 一度きりの販売で終わらないビジネスモデルだから
- 解約(チャーン)を防ぐ視点が必要だから
契約後の視点を欠いたマーケティングは、短期の売上は作れても事業を長続きさせにくくなります。
一度きりの販売で終わらないビジネスモデルだから
SaaSの収益は、月額・年額の継続課金によって積み上がっていく仕組みです。
新規契約だけを追いかけても、解約が同じペースで発生していれば売上は伸びません。
たとえば毎月10件の新規契約を獲得できても、同じ月に10件解約されれば、収益は横ばいのままです。
新規獲得と契約継続の両方を、同じマーケティング戦略の中で扱う必要があります。
解約(チャーン)を防ぐ視点が必要だから
SaaSでは、契約後に顧客がサービスを使いこなせなければ、早期解約につながりやすくなります。
マーケティングの役割は集客だけでなく、正しい期待値で契約してもらうことにも及ぶでしょう。
たとえば機能を実態以上に誇張して集客すると、導入後の期待外れから短期解約が増える原因になります。
契約前の情報発信の段階から、解約防止につながる設計を意識することが重要です。
SaaSマーケティングで押さえるべき重要指標
SaaSマーケティングでは、一般的な売上高だけでなく専用の指標を追う必要があります。
- 収益・顧客獲得・解約に関する代表的な指標を知る
- 指標同士のバランスで健全性を判断する
指標を知らないまま施策を評価すると、実態とズレた判断をしてしまう恐れがあります。
代表的な指標の一覧
SaaSマーケティングで頻繁に使われる指標を、以下にまとめました。
| 指標 | 意味 | 見るポイント |
|---|---|---|
| MRR(月間経常収益) | 毎月継続的に得られる収益 | 右肩上がりに増加しているか |
| ARR(年間経常収益) | MRRを年間ベースに換算した収益 | 年間の事業規模を把握する指標 |
| CAC(顧客獲得コスト) | 1顧客を獲得するのにかかった費用 | 広告費・人件費を含めて算出できているか |
| LTV(顧客生涯価値) | 1顧客が契約期間全体で生み出す収益 | CACとのバランスが取れているか |
| チャーンレート | 一定期間内に解約した顧客の割合 | 低いほど健全、業種により目安は異なる |
特にLTVとCACの比率は、マーケティング投資が適切かどうかを判断する基本の指標です。
一般的には、LTVがCACの3倍以上であれば健全な投資バランスとされています。
この目安は、海外のSaaS業界解説サイトでも広く紹介されている考え方です。
あわせて、既存顧客からの収益がどれだけ維持・拡大できているかを示すNRR(ネットレベニューリテンション)も、SaaSならではの重要指標です。
NRRが100%を超えていれば、解約による収益減少をアップセル等で上回れていることを意味します。
SaaSマーケティングの主な手法
SaaSマーケティングにはさまざまな手法があり、目的に応じて組み合わせる必要があります。
- コンテンツマーケティング・SEO
- 無料トライアル・フリーミアム
- ウェビナー・オンラインセミナー
- リスティング広告・SNS広告
- パートナー・アライアンス施策
1つの手法だけに頼ると、認知から契約までの導線に空白ができてしまいます。
コンテンツマーケティング・SEO
比較検討段階のユーザーが検索する言葉に対して、記事コンテンツで応える手法です。
「〇〇(カテゴリ名) ツール 比較」のような検討フェーズのキーワードは、資料請求や無料トライアルへの転換率が高い傾向があります。
たとえば導入前後の業務フローの変化を具体的に描いた記事は、機能の違いが伝わりにくいSaaSにおいて特に効果を発揮するでしょう。
成果が出るまでに時間はかかりますが、一度上位表示すれば安定した集客源になります。
無料トライアル・フリーミアム
実際に触ってから契約を判断したいという、SaaS特有のニーズに応える手法です。
無料期間中の体験の質が、そのまま契約率を左右します。
たとえば無料トライアル中にオンボーディングのメールが届かない設計だと、機能を使いこなせないまま離脱されてしまうでしょう。
トライアル中のサポート体制まで含めて設計することが、契約率向上につながります。
ウェビナー・オンラインセミナー
比較検討中の見込み顧客に対して、直接情報を届けられる手法です。
営業担当者が個別に説明する手間をかけずに、まとまった人数へ一度に訴求できる利点があります。
たとえば業界特有の課題をテーマにしたウェビナーは、参加者の課題意識が明確なため商談化率が高くなりやすいです。
録画を後日コンテンツとして再利用できる点も、費用対効果を高める要素です。
リスティング広告・SNS広告
即効性を重視する場面で活用される、有料の集客手法です。
SEOやコンテンツマーケティングと異なり、出稿を止めれば流入も止まる点が特徴です。
たとえば新機能のリリース直後など、短期間で認知を広げたいタイミングでは広告が有効な選択肢になります。
中長期はSEO、短期は広告というように、時間軸で役割を分けて使うのが現実的な運用です。
パートナー・アライアンス施策
他社のサービスと組んで、互いの顧客基盤を活かしながら送客し合う手法です。
自社だけでは届かない層に、パートナー企業の信頼を借りて接点を作れる利点があります。
たとえば連携する外部サービスとAPI連携を実現し、双方の顧客に案内し合う取り組みは代表的な例です。
関係構築に時間はかかりますが、軌道に乗れば継続的な送客チャネルとして機能します。
比較サイトやレビューサイトへの掲載も、比較検討層に接点を作る手段として活用できます。
成長フェーズ別に見る施策の優先順位
SaaS事業は、成長フェーズによって重視すべき施策が変わります。
- 立ち上げ期・成長期・拡大期の違いを把握する
- フェーズに合わない施策への投資を避ける
フェーズを無視した施策選びは、投資効率を下げる原因になります。
あわせて、ターゲットとする企業規模によっても有効な施策は変わってきます。
フェーズ別の優先施策
フェーズごとに優先すべき施策を、以下にまとめました。
| フェーズ | 優先すべき施策 | 目的 |
|---|---|---|
| 立ち上げ期 | 初期ユーザーへの個別ヒアリング・SNS発信 | 製品の方向性を検証する |
| 成長期 | コンテンツマーケティング・SEO・広告 | 認知拡大と契約数の増加 |
| 拡大期 | ウェビナー・パートナー戦略・カスタマーサクセス強化 | 契約単価の向上と解約防止 |
立ち上げ期からSEOに大きく投資しても、製品自体の課題が残っていれば成果に結びつきにくくなります。
自社が今どのフェーズにいるかを見極めたうえで、施策の優先順位を決めることが大切です。
ターゲット規模(SMB・エンタープライズ)で変わる施策
SaaSマーケティングでは、狙う企業規模によって有効な訴求や進め方が異なります。
- SMB(中小企業)向けの施策のポイント
- エンタープライズ(大企業)向け施策のポイント
規模の違いを無視して同じ訴求を続けると、どちらの層にも刺さらない中途半端な内容になってしまいます。
SMB(中小企業)向けの施策のポイント
SMBは意思決定者と現場担当者が近く、比較検討から契約までのスピードが速い傾向があります。
価格の分かりやすさや、導入のしやすさが重視されやすい層です。
たとえば無料トライアルからそのままセルフサーブで契約まで完結できる導線は、SMB層との相性が良い設計です。
営業担当者を介さずに契約まで進められる仕組みを整えることで、対応コストを抑えながら件数を積み上げられます。
料金ページやFAQを充実させ、疑問をその場で解消できる状態にしておくことも有効です。
エンタープライズ(大企業)向け施策のポイント
エンタープライズは決裁者が複数にわたり、稟議のプロセスも長くなりやすい層です。
セキュリティ要件や既存システムとの連携可否など、検討項目もSMBより多岐にわたります。
たとえば導入企業の実績や、情報セキュリティに関する認証取得状況を明記した資料は、稟議を通す社内説明の材料として重宝されるでしょう。
個別提案やオンライン商談を前提に、営業担当者がフォローする体制を厚めに用意しておくことが求められます。
意思決定に関わる複数の部門それぞれに向けた資料を用意しておくと、社内合意形成をスムーズに進めやすくなります。
ターゲット規模に合わせた施策を設計したい方へ
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SaaSマーケティングは、契約獲得後もカスタマーサクセス部門との連携が欠かせません。
- オンボーディングまでを設計に含める
- 既存顧客への情報発信も欠かさない
契約獲得だけをゴールにすると、その先の解約防止は他部門任せになってしまいます。
オンボーディングまでを設計に含める
契約直後に顧客が機能を使いこなせるかどうかが、その後の継続利用を大きく左右します。
マーケティングが集客時に伝えていた内容と、実際の使い方にギャップがあると、早期離脱の原因になるでしょう。
たとえば集客段階のコンテンツと、契約後に配信するオンボーディングメールの内容を揃えておくと、顧客が迷わず機能を使い始められます。
カスタマーサクセス部門と事前にすり合わせたうえで、集客時の訴求内容を設計することが望ましいです。
既存顧客への情報発信も欠かさない
マーケティングの役割は新規獲得だけでなく、既存顧客への情報発信にも及びます。
新機能の紹介や活用事例の共有は、既存顧客の利用継続やアップセルにつながるでしょう。
たとえば導入企業向けの活用セミナーを定期開催すると、機能を使いこなせず解約を検討していた顧客の引き止めにつながることがあります。
新規獲得と既存顧客のフォローを、同じマーケティング戦略の中で両立させる視点を持ちましょう。
SaaSマーケティング戦略の立て方
思いつきで施策を並べるのではなく、戦略として順序立てて設計することが成果につながります。
- ペルソナ・カスタマージャーニーを設計する
- 施策を実行しPDCAを回す
戦略なしに施策を始めると、途中で優先順位がぶれてしまいます。
ペルソナ・カスタマージャーニーの設計
誰に向けたサービスなのかを具体的に描くことが、戦略設計の出発点です。
認知から契約、定着までの各段階で、顧客がどんな情報を求めているかを整理します。
たとえば情報収集段階では比較記事、比較検討段階では導入事例、契約直前では料金や導入の流れといった情報が求められるでしょう。
段階ごとに必要な情報を用意しておくことで、離脱を防ぎやすくなります。
施策の実行とPDCA
設計した戦略は、実行しながら数値で検証していく必要があります。
効果が出ている施策には投資を増やし、成果の薄い施策は縮小するという判断を繰り返します。
たとえば公開した記事のうち、資料請求につながっているページとつながっていないページを月次で比較し、上位ページの型を横展開する運用が有効です。
一度作った戦略に固執せず、数値を見ながら柔軟に調整する姿勢が求められます。
マーケティングとセールスの連携
SaaSでは、マーケティングとセールスが分断されていると機会損失が起こりやすくなります。
- SLA(サービス品質保証)で役割分担を明確にする
- 情報共有の仕組みを整える
連携が取れていないと、せっかく獲得した見込み顧客が放置されてしまいます。
SLA(サービス品質保証)で役割分担を明確にする
SLAとは、マーケティングとセールスの間で「どこまでをマーケティングの役割とするか」を明文化した合意のことです。
たとえば「資料請求後3営業日以内にセールスが接触する」といった具体的な基準を決めておきます。
基準がないまま連携すると、マーケティングが獲得した見込み顧客がセールス側で放置されるケースが起こりがちです。
役割の境界を数値で明確にしておくことで、双方の責任範囲がはっきりします。
情報共有の仕組みを整える
マーケティングとセールスの間で、顧客情報がリアルタイムに共有される仕組みが必要です。
MAツールとCRM・SFAを連携させることで、見込み顧客の行動履歴を営業担当者が把握できるようになります。
たとえばどの記事を読んだ見込み顧客かが分かれば、営業担当者は初回接触の会話の質を高められるでしょう。
情報が分断されたままだと、せっかく蓄積したデータが活用されずに終わってしまいます。
SaaSマーケティングとセールスの違い
マーケティングとセールスは混同されやすいものの、役割はそれぞれ異なります。
- マーケティングは「売れる仕組み」を作る役割
- セールスは個別の商談を通じて契約を獲得する役割
- 連携がうまくいっていないときのサインを見逃さない
役割の違いを理解していないと、成果が出ない原因を正しく切り分けられません。
役割の違いを理解する
マーケティングは、顧客視点から見た「売れる仕組み」を作る活動全般を指します。
一方セールスは、個別の顧客との商談を通じて契約を獲得する活動です。
たとえば見込み顧客を集める記事やウェビナーの企画はマーケティングの領域で、その後の個別提案や条件交渉はセールスの領域です。
両者は対立するものではなく、前工程と後工程として補い合う関係にあります。
連携がうまくいっていないときのサイン
マーケティングとセールスの連携がうまくいっていない現場には、共通したサインが現れます。
資料請求後の対応が遅い、営業側がマーケティング施策の内容を把握していないといった状態がその代表例です。
たとえば見込み顧客が問い合わせた背景(読んだ記事や参加したウェビナー)を営業側が知らないまま商談に臨むと、初回接触の質が下がってしまいます。
こうしたサインに気づいたら、まずは情報共有のルールから見直すことが対策の第一歩です。
小さな違和感でも放置せず、早めに部門間で話し合う習慣が信頼関係の維持につながります。
SaaSマーケティング組織の立ち上げ方
専任のマーケティング担当者を置くタイミングや体制の作り方に悩む企業は少なくありません。
- 1人目のマーケターに求められる役割
- チームとして拡大していくタイミング
体制づくりの順序を誤ると、施策が場当たり的になり成果が積み上がりにくくなります。
1人目のマーケターに求められる役割
SaaS企業の1人目マーケターには、特定分野の専門性よりも幅広く動けるゼネラリスト的な素養が求められます。
コンテンツ制作から広告運用、データ分析まで一通り自分で手を動かせる人材が向いています。
たとえば立ち上げ初期は、記事執筆・広告設定・効果測定を1人で兼務するケースも珍しくありません。
特定領域のスペシャリストを最初に採用すると、他の施策が手薄になりやすい点に注意が必要です。
チームとして拡大していくタイミング
1人で担える業務量を超えてきたら、専門領域ごとに担当を分けていくタイミングです。
コンテンツ制作・広告運用・データ分析といった領域ごとに、得意分野を持つ人材を採用していきます。
たとえば問い合わせ件数が増え、1人ではリード対応と施策の両立が難しくなってきた段階が、増員を検討する1つの目安です。
組織が拡大しても、部門間の連携ルール(SLA等)を維持し続けることが重要です。
採用を急ぎすぎず、既存メンバーの業務量と成果を見ながら段階的に増やしていく判断も欠かせません。
効果測定と改善のポイント
施策を実行したあとは、成果を正しく計測し次の打ち手につなげる仕組みが必要です。
- チャネルごとの貢献度を可視化する
- 短期指標と長期指標を分けて評価する
計測の仕組みが曖昧なままだと、どの施策が成果に貢献しているか判断できません。
チャネルごとの貢献度を可視化する
SEO・広告・ウェビナーなど、複数のチャネルを併用している場合は流入経路ごとの成果を分けて把握します。
すべての契約を最後に接触したチャネルだけの成果にしてしまうと、実際に貢献した施策を見誤ります。
たとえば最初に記事を読んでからウェビナーに参加し契約に至った顧客を、ウェビナーだけの成果として計上すると、記事の貢献度が正しく評価されません。
複数の接点を経て契約に至る過程を追える計測環境を整えることが望ましいです。
計測ツールの導入だけでなく、社内での見方・使い方のすり合わせも忘れずに行いましょう。
短期指標と長期指標を分けて評価する
資料請求数やトライアル申込数といった短期指標だけで施策を評価すると、判断を誤ることがあります。
短期指標が良くても、契約後のチャーンレートが高ければ事業全体としては健全とはいえません。
たとえば無料トライアルの申込数を増やす施策が、質の低い見込み顧客ばかりを集めてしまい、契約率や継続率を下げてしまうケースもあります。
短期の数と、契約後の質の両方を定期的に確認する運用を心がけましょう。
SaaSマーケティングでよくある失敗
SaaSマーケティングでは、他業種とは違った特有の失敗パターンがあります。
| よくある失敗 | 起こりやすい原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 新規獲得だけを追い、解約率を見ていない | MRR等の継続指標を評価に含めていない | 新規獲得とチャーンレートを必ずセットで評価する |
| マーケとセールスの連携基準がない | SLAを設定していない | 接触までの期限等を数値で明文化する |
| 無料トライアル後のフォローが手薄 | 集客後の体験設計を後回しにしている | トライアル中のオンボーディングを設計する |
| フェーズに合わない施策に投資する | 成長フェーズの見極めができていない | フェーズごとの優先施策を定期的に見直す |
| SMBとエンタープライズに同じ訴求を使う | ターゲット規模ごとの検討プロセスの違いを考慮していない | 規模に応じてコンテンツや導線を分けて設計する |
これらの失敗は、いずれも「契約後まで見据えた設計」の欠如が根本原因になっています。
1つでも当てはまる項目があれば、優先的に見直すことをおすすめします。
SaaSマーケティングを成功させるコツ
ここまでの内容を踏まえ、SaaSマーケティングを成功させるための考え方を整理します。
- 短期の契約数だけでなく継続指標も追う
- 部門をまたいだ連携を仕組み化する
これらを意識するだけで、施策全体の一貫性が大きく変わります。
短期の契約数だけでなく継続指標も追う
新規契約数はもちろん重要ですが、それだけを追い続けると事業の実態を見誤ります。
MRRの推移とチャーンレートを合わせて見ることで、事業が本当に成長しているかを判断できるでしょう。
たとえば新規契約数が伸びていても、チャーンレートがそれ以上に悪化していれば、実質的な収益は減少していきます。
週次・月次で継続指標をチェックする習慣を、チーム全体に根付かせることが大切です。
部門をまたいだ連携を仕組み化する
マーケティング・セールス・カスタマーサクセスの3部門が、同じ顧客データを見て動ける状態を目指します。
属人的な情報共有に頼っていると、担当者が変わった瞬間に連携が崩れてしまうでしょう。
たとえば月1回、3部門合同で顧客データを見ながら課題を話し合う定例会を設けるだけでも、連携の質は大きく改善します。
仕組みとして定着させることで、担当者が変わっても質の高い連携を維持できます。
SaaSマーケティングに役立つツール
手作業だけでSaaSマーケティングを回すには限界があり、ツールの活用が欠かせません。
| ツールの種類 | できること |
|---|---|
| MAツール | 見込み顧客の行動を可視化し、メール配信等を自動化する |
| CRM・SFA | 顧客情報・商談履歴を一元管理し、セールスと共有する |
| アクセス解析ツール | 記事やLPの流入経路・成果を数値で把握する |
| ウェビナーツール | オンラインセミナーの配信・参加者管理を行う |
| プロダクト分析ツール | 顧客のサービス内での行動を分析し、解約の予兆を把握する |
ツールはあくまで手段であり、導入するだけで成果が出るわけではありません。
自社の戦略に合わせて、必要な機能から段階的に導入していくことをおすすめします。
特にプロダクト分析ツールは、集客側のマーケティングと契約後のカスタマーサクセスをつなぐ役割を果たします。
FAQ
A. 最大の違いは、契約後の継続利用まで含めて設計する点です。買い切り型の商材と異なり、解約されれば収益が止まるため、定着支援まで含めた設計が必要になります。
A. 規模が小さくても、指標を見ずに施策を続けると非効率な投資が続いてしまいます。簡易な形でもペルソナと重要指標を決めておくことをおすすめします。
A. 決まった正解はありませんが、中長期は資産になるSEO、短期の即効性は広告という役割分担が現実的です。事業フェーズに応じて配分を調整しましょう。
A. 業種や顧客規模によって大きく異なるため、一律の目安はありません。自社の過去データと比較し、悪化していないかを継続的に確認することが重要です。
A. まずはSLA(見込み顧客への接触期限等の基準)を数値で決めることから始めましょう。基準があるだけで、部門間のすれ違いは大きく減らせます。
A. 自社のプロダクトが解決できる課題の規模によって異なります。契約までのスピードを重視するならSMB、契約単価を重視するならエンタープライズが向いています。
A. 特定分野の経験の深さよりも、複数の施策を自分で動かせる幅広さを確認することをおすすめします。立ち上げ期は兼務できる範囲の広さが成果に直結します。
まとめ
SaaSマーケティングとは、契約後の継続利用まで見据えて行うマーケティング活動です。
MRRやチャーンレート、NRRといった専用の指標を追いながら、コンテンツマーケティングや無料トライアルなど複数の手法を組み合わせる必要があります。
成長フェーズやターゲット規模(SMB・エンタープライズ)に応じて優先施策を見直し、マーケティングとセールスの連携も仕組み化していきましょう。
短期の契約数だけでなく、継続指標まで含めて評価する視点が成功の土台になります。
体制づくりや効果測定の仕組みも含めて、契約後まで見据えた一貫した設計を意識してください。
合同会社dock. 代表。2017年の大学在学時に始めたブログの運営が原点となり、SEO業界でのキャリアがスタート。大学卒業後は上京し、Web系広告代理店でオウンドメディアの責任者として、SEOを通じたリード獲得や、SEOコンサルタントとして上場企業や大手企業の対応も多数経験。フリーランスとしてライターやSEOコンサルタントを経験し、2025年に合同会社dock.を設立。